うつつ・うつら/赤染晶子

初子さん」と「うつつ・うつら」収録。前者は裁縫職人、後者はお笑い芸人が主人公で、どちらも息苦しい世の中をどうにかこうにか生き延びている。就職氷河期のこのご時世に文学部でドイツ文学を専攻してきた著者の実体験が投影されているのか。
表紙にはラテン語で「新しい葡萄酒は新しい革袋に詰めなければならない」と書いてあるけど、その意味は今のところ不明。