漱石/三浦雅士

漱石―母に愛されなかった子 (岩波新書)

漱石―母に愛されなかった子 (岩波新書)

母親に対する愛憎→神経症、というパターンがまるで岸田秀である。
それにしても、評論家というのはすごい。同じテキストを前に、これまでにない新しい解釈を繰り広げ、なおかつ、説得力ある言葉でそれらを提示する。そして、その後の読者のテキストに対する態度を決定的に変えてしまう。
しかし一方で、その行為は『聖書の暗号』と紙一重だったりするわけで、次の段階としては、評論家を評論する行為が必要になってくる。