伊豆の踊子/川端康成

伊豆の踊子 (新潮文庫)

伊豆の踊子 (新潮文庫)

大学生の主人公が旅行先の伊豆でドサ廻りのコンパニオン一座と道中一緒になり、年下の娘にちょっと恋しちゃうけど、とくに何事も起こらず、無事に下田までの旅が終わっておしまい。
小説の最後で、娘夫婦がスペイン風邪パンデミックで死んでしまって3人の小さな孫を抱えることになった可哀想なお婆ちゃんが登場し、見ず知らずの主人公が上野駅までの引率を引き受ける、というシーンが登場する。話の筋には全く関係ないけど(というか、もともと小説全体が筋らしい筋のないロードムーヴィーだけど)ぐっときた。伊坂幸太郎ならこのお婆ちゃんの話でもう1冊書いてる。
一般人の芸人に対する差別意識がものすごい一方で、大学生の社会的地位の高いこと高いこと。最近の日本は「格差社会」らしいが、この作品に描かれた1926年あたりの日本の姿に比べると、経済格差も身分差別もどうってことない。
今ドラマ化するなら、踊り子役は臼田あさ美ちゃんできまり。