ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士/スティーグ・ラーソン

シリーズ最後を飾る本作は、スパイ小説・法廷サスペンス。今までの伏線は無事に回収され、尚且つシリーズ3作を総合するとリスベット・サランデルのビルドゥングスロマンにもなっているという盛り沢山ぶり。
でも冷静になって考えてみると、リスベットって、喧嘩は強いわ、フェルマーの最終定理は解いてしまうわ、24億ドル持ってるわ、世界一のハッカーだわで、超人にも程がある設定のような気もしてきた。
ところで、本作のタイトルは、オリジナルだと「壊れた妄想 Luftslottet som sprängdes (The Air Castle that blew up)」、英語版だと「スズメバチの巣を蹴飛ばした娘 The Girl Who Kicked the Hornets' Nest」と、各国バラバラなのが面白い。
東京大学のタカムラ・ヨシト教授が書いた『螺旋−DNAの神秘』という本が登場するが、創作のようす。
シリーズを通じて大活躍するハッキング・ソフトの「アスフィクシア」(asphyxia。窒息)は、ハードディスクの中身を全部どこかのサーバーにこっそりコピーし、その後も常に更新を怠らない、というクラウドなツールだけど、このPCにも常駐していそうで怖い。